著作権

Ananda Intellectual Propertyは、タイ国内外でのお客様の著作権出願と権利行使をサポートします。

タイ国内での著作権保護に関してよくあるご質問を以下にまとめています。 タイ著作権法英語版はこちらからご覧いただけます。

著作権とは、思想を物理的に表現した著作物の創作者に所有権を認める、知的財産権の一つです。こうした表現には一般に文芸、視聴覚著作物、ソフトウェア、彫刻作品、写真、建築物、応用美術作品などが含まれます。

著作権では執筆者、芸術家などの創作者に人格権と、自らの創作物の独占的使用権、公表権、商品化権が与えられます。人格権について詳しくはこちらをご覧ください。

アドバイス
著作権を登録するメリット 著作権所有者へのアドバイス
  • 創作者に自らの創作物の独占的使用権、公表権、商品化権が与えられる。
  • 正式な登録日が設定され、知的財産権の防御や商品化許諾契約の際に役立つ。
  • 著作権の登録により、民事・刑事手続きによる知的財産権の権利行使が容易になる。
  • 芸術的創作物やソフトウェアについては著作権出願を記録する。
  • 従業員またはその他第三者が著作権所有者のために作った創作物を正しく譲り受ける。
  • 製品、パッケージ、ウェブサイトに著作権を表示する。
  • その創作物がパブリックドメインであるかの印象を与えることを防ぐために著作権を行使する。

タイは文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約に加盟しています。従って、タイにおいて外国の著作物は保護され、且つ、国内の著作物と同様に著作権保護が自動的になされます。

タイ法に基づき、著作権は著作者の有形の表現を保護し、こうした保護には幅広い形態が想定されます。留意すべきは保護の対象は思想の表現であって、思想そのものではないという点です。言い換えると、著作権は著作物の主題ではなく、表現形態を保護します。著作権保護を得るには、その著作物が何らかの有形形態を有している必要があります。
著作権では思想、手順、プロセス、方式、使用方法または操作方法、概念、原則、発見、科学または数学上のルールは保護されません。

これらの制約事項はありますが、著作権の保護は以下を含む幅広い思想の物理的表現をカバーしています。

  • 文芸作品(広告、書籍、雑誌、新聞、ウェブサイトコンテンツなど)
  • コンピューターソフトウェア
  • 音楽著作物
  • 演劇著作物(振り付け、舞踊、演技など)
  • 美術的著作物(絵画・描画、彫刻、リソグラフィ、建築物、写真、イラスト、その他応用美術形態)
  • 視聴覚著作物
  • 映画著作物
  • 録音
  • 放送著作物

著作物に対する著作権は創作時点で発生し、著作物の種類によって保護期間が決まっています。 著作権は正式な登録や記録がなくても権利行使できる唯一の知的財産権ではありますが、予め著作権所有を登録していない場合、商品化を行ったり、権利侵害に対抗する際に多大な労力を要することになります。また、特定種類の著作物については、著作権保護期間が創作時点ではなく公表時点から始まりますので注意してください。

著作権は著作物の創作者に権利を与えます。従って、著作権登録を出願する場合は、著作権で保護される題材に関する出願人の所有権と、過去の公表有無を検討する必要があります。

著作権の登録申請ができるのは著作権者のみです。多くの場合、著作権者と著作物創作者は同一人物ですが、創作者ではない人物が正当な著作権者であることもあります。よくあるのは、雇用主と従業員との間で別段の取り決めをしている場合を除き、雇用主が雇用主の指示によって従業員が創作した著作物の著作権者であるケースです。その他、著作権者と著作物の創作者が同一でないケースとして、著作権の譲渡または相続による承継があります。例えば、ソフトウェアの著作権登録は通常、(会社に雇用されている)創作者・執筆者個人ではなく会社が申請を行います。

著作権登録によって、著作物の所有権の根拠が法的に認められたことになります。著作権登録は、その著作物の所有権や使用に対する権利の主張から守る効果があります。

タイでの著作権登録の大まかな手順は、申請、審査、認可、申請の電子保存、登録証明書の発行です。通常、登録完了までに2~4カ月を要します。

タイにおける著作権登録手順(概略)

著作権登録申請には次の情報が必要です。

  • 著作物の種類、内容の簡単な説明
  • 著作物の題号
  • 申請者氏名、住所、国籍
  • 著作者氏名、住所、国籍、誕生日
  • 著作物の取得に関する情報(該当する場合)、著作物が創作された国
  • 著作物の創作日、公表日(公表済みである場合)
  • 外国での著作権記録・登録に関する情報
  • 著作権公表の許可

ソフトウェアの著作権登録申請の場合は、プログラムまたはソースコードの最初の10ページおよび最後の10ページの提出(または希望によりプログラム全体)が求められます。

著作権はその著作物の経済的利用をコントロールする独占的権利を創作者に与えます。
こうした権利の中でも特徴的な独占的権利は次の通りです。

  • 著作物を複製すること(例:書籍を印刷する、映画をDVDにコピーするなど)
  • 著作物の複製物を一般に頒布すること
  • 著作物の複製物を貸与すること
  • 著作物を許可なく翻訳する、翻案すること
  • 著作物を上演する、公に伝達すること

タイでは公正使用が広く解釈されているため注意が必要です。著作物の複製・コピーは、営利目的である場合を除き、通常は権利侵害とみなされません。
著作権には、著作者の品位と評判を守る人格権も含まれます。

著作権者に与えられる権利は、著作権を登録するしないにかかわりなく同一です。ただし、登録によって戦略的に有利になりますので、所有権または創作日・公表日(同時の独立創作を主張された場合に役立つ情報)の証拠を確立しておくことを強くお勧めします。著作権登録はまた、侵害者に対して罰金または刑事罰を求めることによる権利の行使を容易にします。登録著作権の所有者は、その権利に不利な証拠を挙げる必要はありません。侵害者が自分の方が優先されるべき権利を持つことまたは著作権者がその著作権の合法的所有者でないことを証明する必要があります。言い換えると、立証責任は侵害者側にあり、登録著作権の所有者が実際にその権利の所有者であると推定されます。

著作権において付与される権利と保護は、著作権者が個人か法人か、著作物がすでに公表されているか未発表かによって変わります。

個人に属する未公表著作物の著作権保護期間は、権利者の存命期間と死後50年です。その著作物が複数の著作者による共同所有である場合の著作権保護は、共同権利者の存命期間と最後に亡くなった共同権利者の死後50年です。

個人に属する公表済み著作物の著作権保護期間は、最初の公表日から50年です。

法人に属する未発表著作物の著作権保護期間は、創作日から50年です。

法人に属する公表済み著作物の著作権保護期間は、最初の公表日から50年です。

50年の保護期間ルールの例外が応用美術の著作権です。応用美術については、創作日または公表日のいずれか遅い方から25年です。

著作権を取得した創作物を直接商業利用する場合のほか、著作権者は著作物を譲渡またはライセンス付与することができます。

譲渡は所有権を永久的に移転することを意味しするものですから、著作権のライセンス付与と混同しないようにしてください。著作権譲渡取引は売買・購入契約として取り扱うのが全当事者の利益のためです。当事者は交渉と譲渡契約の作成に細心の注意を払う必要があります。譲渡がタイ国内で認識されるためには、その旨を知的財産局に登録する必要があります。

著作権のライセンス契約は、ライセンサー(著作権者)がライセンシー(被許諾者)に、著作物の一時的な使用、複製、その他商業化を認めるものです。

タイ発の国際的著作権ライセンス契約の成功事例の一つが、当事務所の顧客企業であるElephant Parade®(エレファントパレード)です。

エレファントパレードのコンセプトは、アート、ビジネス、慈善活動の独自の融合です。タイ国内または海外の有名アーティストが色付けした象のレプリカが有名都市で展示されたり、募金活動のためにオークションに出品されます。このケースでは、それぞれの象の彫像の形状と装飾が保護され、エレファントパレード社はライセンス契約によって数百体のレプリカとこの有名な象を複製したさまざまなグッズの販売に成功しました。

著作権のライセンス契約はある意味、著作権の単なる譲渡や移転よりも複雑になりがちです。著作権ライセンス契約は賃借契約と考えるとわかりやすいでしょう。賃借される財産が著作物の知的財産、財産の使用権が賃借財産の使用と似ています。著作権ライセンス契約を含むライセンス契約においては、ライセンスの独占性、ライセンス期間、使用許諾される知的財産の使用について情報を盛り込むことが重要です。

ライセンス契約には独占的、非独占的の2通りがあります。独占的ライセンス契約は、範囲、文脈、地域、市場、時間などライセンシーに独占的権利を付与し、その契約期間中、ライセンサーは同じ権利を第三者に与えることはできません。タイ市場で見られる一部高級品の広告に「販売総代理店」「独占販売代理店」と表記されているのがこの概念です。非独占的ライセンス契約はこれと反対を意味し、ライセンサーは同じ権利を複数のライセンシーに付与できます。地域や期間が重複する場合もあります。タイでは著作権ライセンス契約の知的財産局への登録は義務ではありませんが、登録は一般に健全な商慣習と考えられ、ライセンサーが国内のライセンシーに侵害者の追跡を認めている場合は特にお勧めします。